真夏の夜の静寂を破る、不気味な気配が眠れる街を満たす。
 現れたのは魔界帝国ゾルグの幹部、ガイアス。
 ブレイズセイバーこと炎野セイカは迷わず変身し、駆けつけるや否や必殺技を叩き込んだ。
 閃光と爆煙の中、ガイアスは呻き声を上げ、あっけなく地面に崩れ落ちる。
 ――戦い慣れたセイカでさえ、そのあまりの容易さに小さく首をかしげた。
 だが、今は深く考えている暇などない。
 「ま、あたしが強くなりすぎたんだなっ!」
 そう自分に言い聞かせ、変身を解き、背を向けて歩き出すセイカ。
 彼女はまだ知らない――その安堵こそが、地獄への第一歩だった。